涼宮ハルヒの消失 感想

 公開初日2月6日(土)の初回上映を某シネマコンプレックスにて鑑賞して来ました。


 まず、本編観賞後の率直な感想として、「やっぱ京アニきめぇw(※もちろん好意的な意味で)」とか「みくるの肉感www」とか「長門押し倒したい」とか「このエレベーターは一体どの時空を降下中なんだろうか・・・(ゴクリ」とか「なんだあのキョンの後戯(みたいなの)www不感症で有名なウチの姉ちゃんでも濡れるwww」とか\なげぇ/とか、若人は若人らしく書きたいんだけれど、原作未読組であるからこそ「何が長門長門!だよwキョンハルヒのラブラブチュッチュな話じゃねーかこれw」って感じで真面目に話の内容について書きたいところ。ハルヒ風呂入れ。


 さて、まず、本作『涼宮ハルヒの消失』において、「改めて」放送された(※所謂2期)TVシリーズの物語の経緯は、『笹の葉ラプソディ』だけでなく、『エンドレスエイト』、『涼宮ハルヒの溜息Ⅰ〜Ⅴ』とも、非常に大切で、特にキョン長門の心情(?)の変化が分かり易く描かれている為、『涼宮ハルヒの消失』へのエントリーを容易にしていました。これまで、放送回数の制限や演出・絵的に効果的な話だけを選出しパッケージングされたものがTVシリーズ1期だったと疑いをかけていたのですが、やはり企画当初から計画通りに進んでくれたと考えるのが妥当でしょう(※もちろん、小細工や飛び道具としての意味や効果は十分あった訳でしたが)。そういう意味では、観賞前にTVシリーズの視聴を要求されてしまうように思うかも知れませんが、未視聴であっても、アバンタイトルと改変後の世界との緩急のつけ方や雰囲気の差異、キョンの孤独感に違和感、そして、それ(※キョンの心情)を鑑賞者とリンクさせる巧妙な演出で物語は伝わるでしょうから、鑑賞者を悪い方向へと誘導するような事は無い筈です。ただし、僕は「改めて」放送されたTVシリーズ視聴後の観賞をお薦めしていますよ。


 って事で、「すごい映画」、「100点」、「どうもありがとうございました」とか言って金もらえて長門と結婚できたら特に何も言う事無いなってくらいすばらしい作品なんですが、ここは一つ、2時間42分53秒という日常描写アニメとしても異例とさえ言える長尺を中心にお話がしたい。


 「正直言って短いですよこれ」


 って書くと、「時間を忘れるくらい〜で」というような良い意味として取られるのがこの場に於けるその常套句の解釈の風潮なんでしょうが、どちらかと言えば悪い意味で使いました。メンゴメンゴ。
 先述の通り、『涼宮ハルヒの消失』の話の軸は、「長門かわいい」じゃなくて、これまでの経過の集大成として、キョンハルヒへの気持ちを再認識し確固たるものであると決定付け、2人の愛をこれでもかと見せ付けてくれるヒューヒューな話である訳ですけども、どうも僕にはあっさり軽い愛に映ってしまいました。別に高校生だからとか言う訳じゃなくてね。そう映ってしまった理由は単純明快で、キョンが(表面的に)望んでいたとは言え、あんな機械的に改変された平行世界と今までの世界とを天秤にかけて、その2つの世界どちらかの選択をキョンの一存に委ねたところで答えは明白だろっつー話。ハプニングの渦中にあって、未だ頭の整理もつかないまま、ハルヒは居ねぇ、朝倉さんは居る、鶴屋さんはかわいいけど怖い、みくるもかわいいけど殴られた、長門ちょっとかわいいけど小泉半袖短パンできもやか、加えて、時間的にもキョンはたったの2日、僕ら鑑賞者は僅か数十分しか過ごしていない世界をどうしたら選択するってんだよ。しねぇよ。そもそも、改変前の世界とキョンは約8ヶ月(+15531回分の夏休み後半)、こちとら「改めて」放送されたTVシリーズから約6ヶ月(+4ヶ月)もの長い付き合いがあるんだからねッ!!
 もし、改変後の世界であっても、キョンハルヒと出会い、改めてSOS団を結成し、長門共々よろしく仲良くして、ある程度の時間を過ごして、「あなたが考えているほど世界はひどくないから。by セルティ・ストゥルルソン」って、ちょっと違うけど思い始めて、ようやく天秤に乗せられるってモンでしょーが。『涼宮ハルヒの憂鬱』はじめ、『笹の葉ラプソディ』、『エンドレスエイト』、あれだけ実際の時間とのリンクに拘った作りをしてくれていただけに、劇場作品のデメリットがここで出てしまったなぁ・・・と。これまでのTVシリーズのように、放送時間だけではなく実際に流れている時間をも有効利用し、改変後の世界をより長く充実して描く事ができたら、また、長門が期限を設けていなければ、キョンが委ねられる世界の選択ってのはもっと重く深いものになったんじゃねぇのかな。
 「だから『涼宮ハルヒの消失』をTVシリーズでやれ」なんて事は毛頭思ってはいません。ただ単に、あんな仮初の世界と時間じゃそりゃキョンは躊躇無くEnterキーを押すだろと。改変後の世界には「長門かわいいかったな」とか、「ハルヒ光陽園学院の制服似合ってたな」って程度の未練や思い出しか無かっただろうし。もう少し長く居させてあげる事ができたら、あのEnterキーも「カチッ」って軽い擬音から変わって聞こえてきたかも知れない。
 結局のところ、僕の解釈では長門が設定した2日って期限がキョンの判断を躊躇無いものにした訳だけど、それはつまり長門自身の答えというか希望でもあったんだろうな。うん、そう考えると長門、お前は本当に切ない存在すぎるよ・・・。


 劇場から出ると外では細かな雪が舞っていた。

 吹きすさぶ雪の重みや風力をはかろうと袖の中に隠していた手を外に出したら、隣に居た長門が手袋越しではあるんだけれど、そっと手を繋いできた。もちろん、そういうつもりで袖から手を出した訳じゃなかったし、長門が今までそんな事をしてくれたって前例も一切無くて、少し・・・いや、かなり戸惑いはしたんだけれど、どうせ雪の重みや風力なんて僕の手じゃはかれないんだし、なんて言うか、つまるところ長門かわいいから「YES」って意味を込めて今度はこちらから手を繋ぎ直してみた。込めた意味が伝わったかどうかはよく分からないんだけれど、手袋越しからでも伝わって来るこの36.9℃のやや微熱が今は何よりの証拠であり答えだ。長門って表情は読めないんだけれど体温は正直で、こんなに発熱しても表情には一切表れないトコがまたかわいい。これを世界はバグって事で全部済ませちゃうんだから嫌になっちゃうよホント。もうちょっと気の効いた言葉くらい用意してくれたっていいんじゃないか。


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