とらドラ! 第25話EX 「Beautiful・Dreamer」







大河 「だいぶ時間・・・ かかっちゃったね」


大河 「でも私には必要な時間だったの 今まで私の我侭に付き合わせちゃってごめんね竜児」


大河 「それと・・・ 理解してくれて本当にありがと」


大河 「・・・・・・」


大河 「あのね、竜児・・・ 大事な話」


大河 「私達二人は今でこそ再会が叶ってここにいる訳だけど、竜児と離れていたこの1年、正直不安ばっかりだったんだ・・・」


大河 「私が竜児を好きでいられるのか・・・ 竜児が私の事を好きでいてくれるのか・・・ 自分と竜児を信じ切れない自分自身への不安と葛藤・・・」


大河 「きっと竜児も私と同じ気持ちでいたのよね・・・」


大河 「竜児を好きでいる気持ちを変える気も変わる気も無いのに、自分から置いた時間的な距離と空間的な距離が重圧になって心に圧し掛かってきた」


大河 「辛かった、本当に・・・」


大河 「竜児が一番・・・んーん、竜児しか好きじゃないのに・・・ 好きでもない誰かに助けを求めている自分がいたの・・・」


大河 「おかしいでしょ? そういう時には好きでも無い人と一緒になれちゃうんだもの」


大河 「竜児に頼っちゃダメだったからって・・・ そんな事しちゃったら意味無いのに・・・」


大河 「私、まだ弱かったんだわ・・・ また楽をしたかっただけ、重圧から抜け出したかっただけ・・・」


大河 「でも、こんなにまで不安定な気持ちを最後まで保っていられた」


大河 「竜児に“好き”って一度も言われていなかったのに」


大河 「私達には約束なんてのは必要なくて“虎と竜は昔から並び立つって決まってるんだ”って、ただそれだけで繋がってた・・・ んーん、繋がる事ができているんだと思ってた」


大河 「でもそれだけじゃなかったの」


大河 「あの時、唇を交わしたから・・・ 身体を寄せ合ったから・・・」


大河 「竜児と私の・・・あ、あああ赤ちゃんがお腹にいたから・・・」


大河 「・・・・・・」


大河 「・・・・・・?」


大河 「・・・な、何よ 今度こそ驚かそうと思って言ったのに リアクションも取らずに固まっちゃって・・・」


大河 「・・・ちょっと、竜児? 竜児ー? 竜児ったらー?」


大河 「もぅ・・・」


大河 「ほら、パパ! しっかりしなさい!」


大河 「ほら、パーパー? ねぇ、パーパー?」








この世界の誰一人 見た事が無い物がある


それは優しくて とても甘い


たぶん 見る事が出来たなら 誰もがそれを欲しがる筈だ


だからこそ 誰もそれを見た事が無い


そう簡単には手に入れられないように 世界はそれを隠したのだ


だけど いつかは誰かが見つける


手に入れるべきたった一人が ちゃんとそれを見つけられる



それを見つけられた二人ならば 見る事ができるものがある


それは愛しくて とても重い


たぶん 見る事が出来るから 二人はそれを大切にする筈だ


だからこそ 二人はそれを見る事ができる


そう簡単には手に入れられないように 世界はそれを隠しているのだ


だけど いつかは二人が見つける


手に入れるべき二人だけが ちゃんとそれを見つけられる



そういう風にできている










大河 「責任取ってね」